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【トルコ情勢】シリア越境軍事行動についての記者会見

シリアへの越境軍事行動の最中、トルコのBinali Yıldırım首相と米国のJoe Biden副大統領はアンカラで開催した共同記者会見について、Hurriyet紙が報道している。

トルコのシリア政策、またギュレン氏の送還に関わる米国との駆け引きが垣間見れる。

(以下、East Media Newsによる記事の意訳)
米国は、シリアでのトルコ軍と(穏健な)反政府武装組織による越境軍事行動への支援を表明するさ中、シリアのクルド人組織に対して、「今後も米国の支援を受けたいのであれば、ユーフラテス川の東側に戻る」よう、トルコ政府の主張に同調した要求を行った。

共同記者会見において、米国のJoe Biden副大統領は「クルド人武装組織はユーフラテス川を超えて(東方に)戻らなければならない。それを守れないのであれば、アメリカの支援を受けることはできないだろう。」と語った。

Biden氏は 7月15日にクーデター未遂事件が発生して以降、トルコを訪問した最高位の要人であり、トルコからのFethullah Gülen氏の送還要求に対応している。

米国とトルコの間で生じている問題は2つ。一つはギュレン氏の問題であり、もう一つはシリア領内で米国が支援するクルド人組織の問題であった。

クルド民主連合党(PYD)がユーフラテス川以西で影響力を増している問題は、二国間における大きな問題の一つであった。シリア領内で活動するクルド民主連合党は長らくユーフラテス以西への進出を狙ってきたが、シリアにおける米国の軍事作戦のパートナーでもあった。

Yıldırım首相はトルコと米国がクルド民主統一党とその武装組織(人民防衛隊)に関して「ユーフラテス川の東部に戻るべきだ」という一つの合意に達したことを明らかにしたほか、米国に対して、危機の上昇を招かないために人民防衛隊への支援を見直し、クルド民主連合党と、トルコ領内のクルド労働者党(PKK)が同じものであるとみなすよう要求した。

Yıldırım首相は、「我々は現在発生している事態について、米国と完全な合意に達した。それはクルド民主連合はユーフラテスの西方に来るべきではなく、活動を行うべきでもないという点だ。我々は会議においてこの問題を評価し、もう一度米国による評価を確認する。それゆえ、民主連合党はユーフラテスの西側において、何らの影響力を持つことはできないだろう。つまり、我々はクルド民主連合党(シリア)とクルド労働者党(トルコ)は協力しているということを知っているのだ。」と発言した。

トルコのクルド労働者党(PKK)は米国とEUからテロ組織と認定されている。また、
重要な点は、トルコのシリアに対する主要な政策は、国境を接するシリア領内の領土保全を維持し、いかなるKurdish entity(クルド人による自治組織とでも訳すべきか。)の創造も許さないという事である。

トルコのシリア領内における作戦が、自由シリア軍と協同した「イスラム国」からのJarablus市解放という形をとる中、Biden副大統領はトルコがクーデター未遂に際して、ジハーディストとの闘いを継続したことについて敬意を表した。

Biden副大統領は、クーデター未遂についてコメントするとともに、「オバマ大統領は自分(Biden)を派遣することでトルコ国民と民主主義に対する米国の支援と結束を示した」ことを強調し、「トルコの一番の友人は米国である」と訴えた。

会見はギュレン氏の送還要求についても触れており、Biden副大統領は「ギュレン氏に対するトルコ政府や国民の怒りについては理解しており、我々はトルコ政府と協調している。」と発言している。また、米国は同盟国に対して「害をなす者を保護する意図はない」が、ギュレン氏の送還に応じるかどうかは、「トルコが提供する証拠に基づいて、米国の法廷が決定する」ものだと付け加えている。

これに対して、Yıldırım首相は「両国の戦略的パートナーシップは、米国がギュレンをトルコに引き渡すことを必要としており、それこそが(トルコの)対米感情をポジティブに変える」道であると返答した。

(以上)

→ US urges PYD to not cross Euphrates, lends support to Turkish ops
Hurryiet News 2016.8.25
http://www.hurriyetdailynews.com/us-urges-pyd-to-not-cross-euphrates-lends-support-to-turkish-ops-.aspx?pageID=238&nID=103177&NewsCatID=358

トルコのシリア政策の根本が、「いかなるKurdish entityも容認しない」という点にあることが明かされており、中東情勢を理解する助けとなる。

問題となっているクルド人とは、「中東で唯一、国家を持たない民族」として知られており、3000万人ほどの人口がトルコ、シリア、イラク、イランなどの山岳部を中心に広範に分布している。

また、ギュレン氏の送還要求についても、米国は一貫として慎重な対応を崩していない。トルコ政府側は、以前は「証拠云々よりもクーデター未遂で犠牲者が出ているという事実がギュレン送還の根拠だ」とする無茶苦茶な論理を振りかざしていたが、「両国の戦略的パートナーシップのため」「トルコ国民の対米感情の改善ため」などと“脅し”に近い発言をするようになってきた。

クーデター未遂事件の後、エルドアン大統領はギュレン氏をクーデターの黒幕として槍玉に上げつつ、国内に非常事態宣言を布告して反対派の弾圧を行い、自身の権力基盤を確実にした。

また対外関係においては、米国がギュレン氏の送還に応じないことを見て、ロシアとの関係強化に入り、米国に揺さぶりをかけている。

このようなエルドアン大統領の立場に立って考えてみると、クーデターの黒幕を明確に指定し、さらにその送還要求まで米国につきつけてしまっている以上、「一度振り上げた拳」を落とすところが「無い」という事になっては、国民の怒りの矛先が自身に向く可能性がある。

そうした中で爆弾テロが発生し、クルド人武装組織によるテロへの怒りが高まった事が引き金となり、越境軍事行動が「振り上げた拳」の落としどころとなった可能性もあるように思う。



















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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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