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【トルコ情勢・解説】NewYorkTimes 紙へのギュレン氏の寄稿②

引き続き、ギュレン氏の寄稿を紹介する。

( ①からの続き )

多くのトルコ国民がそうであるように、Hizmetムーブメントの信奉者はエルドアン氏によるトルコ民主化と、EU加盟の条件を満たす初期の努力を支援していました。しかし、私たちは彼が民主制から独裁制に変質していくことを見過ごすことはできませんでした。

一連の新たなパージが行われる以前でさえ、近年のエルドアン氏は新聞社を閉鎖し、何千人もの裁判官、検察官、警察官や公務員を追放しているのです。とりわけ、クルド人コミュニティに対しては厳しい手段を取っています。彼は、彼自身を非難する人々のことを「国家の敵」と明言しています。

とりわけ、Hizmetは大統領の復讐心の対象となりました。2013年には、エルドアン氏は自身の閣僚と他の親しい組織がかかわった汚職事件について調査を始めたHizmet信奉者のトルコ公務員たちを責め立てています。それは結果的に、多数の裁判官と警察官が追放され、逮捕されることとなりました。

大統領に選出された2014年からは、エルドアン氏は権力に対する監視を取り除くため、トルコを議会制民主主義から大統領制に変えようとしています。この文脈でいえば、クーデターの失敗に際してエルドアン氏が「神からの贈り物」と発言したことは不吉であるといえます。

彼は政府からより多くの反対者を追放することと、Hizmetムーブメントと市民社会組織にさらなる取り締まりを加えることを目指すことで、完全な権力を握るための障害を取り除いているのです。

アムネスティ・インターナショナルは、トルコの拘留所における拷問に関する(性的暴行を含む)〝信頼できる″報告※を公開しました。ヨーロッパ人権条約への加盟を停止し、非常事態宣言を発出したエルドアン氏の政府なら、不思議なことではありません。

※ アムネスティによるレポートはこちらTurkey: Independent monitors must be allowed to access detainees amid torture allegations
Amnesty International 24 July 2016,
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2016/07/turkey-independent-monitors-must-be-allowed-to-access-detainees-amid-torture-allegations/

トルコの大統領は、「イスラム国」に対する国際連合へのトルコのサポートを制限するとの脅しによって、米国を脅迫しています。彼の狙いは、信頼できる証拠やフェアな裁判が行われる見通しが欠如しているにもかかわらず、私を送還させることです。
エルドアン氏が望むものは何でも与えたいという誘惑は理解できます。しかし、米国は抵抗すべきです。

暴力的な過激主義は、平和的かつ民主的な政治では挑戦することのできない独裁者の下で生きることを強制されている人々のフラストレーションを助長します。
トルコにおいて、エルドアン政権による独裁制へのシフトは、国民を宗派的、政治的、信仰と民族で二分し、過激論者を焚き付けることになってしまいます。

荒れ狂う時代において平和を回復するための世界規模の努力は、中東の民主主義の未来を守るためのものなのですから、米国は、暴動の失敗を、政府に対するゆっくりとしたクーデターへと置き換えている独裁者を受け入れてはならないのです。

以上
→ Fethullah Gulen: I Condemn All Threats to Turkey’s Democracy
NYtimes 2016.7.25 By FETHULLAH GULENJULY 25, 2016
http://www.nytimes.com/2016/07/26/opinion/fethullah-gulen-i-condemn-all-threats-to-turkeys-democracy.html

当初、EU加盟に向けた運動において協力していたエルドアン氏とギュレン氏だが、エルドアン氏にとってトルコのEU加盟とは、政府の意思決定プロセスから軍の影響力を排除するための方便に過ぎなかったようだ。

トルコの将来像について、「西欧社会とも対話可能な民主主義をトルコに根付かせようとするギュレン氏」と、「協力な権力集中を伴う“大統領制”に移行させようとしたエルドアン氏」の見解の相違から生まれた対立なのだろう。

様々な報道やインタビューで指摘されているとおり、エルドアン大統領は独裁的な政権を志向しているのだろう。それは現状を見る限り、トルコ国民にとって良い事とは言えそうにない。弾圧で社会に不平不満が鬱積すれば、過激なテロ行為に身を投じる者も出てくるだろう。

一方で、ギュレン氏の運動が、健全な民主主義をトルコに根付かせ、西欧社会と対話の窓口を開けるかどうか。それは未知数ではあるが、思想統制や言論弾圧が常態化し、人権が踏みにじられる状況よりもよい状態であると思われる。

健全な民主主義が根付くためには経済の安定が不可欠でもあるが、エルドアン氏の粛清の
標的は、株式アナリストにも及んでいるようだ。

→ [FT]トルコ、株式アナリストも粛清の的に
日経2016/7/29
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05409000Z20C16A7000000/?df=2

経済に関する情報開示について不安のある国を相手に、まともなビジネスは難しいだろう。

トルコは、イラン・イラク戦争において邦人避難に手を差し伸べてくれた国でもある。友邦が道を過たないよう、「健全な助言」も必要ではないか。







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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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