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【トルコ情勢・解説】NewYorkTime紙へのギュレン氏の寄稿①

トルコのエルドアン政権が米国に引き渡しを要求している、フェトフェッラー・ギュレン氏による論考が、NewYork Timesに掲載された。

自身の政治哲学や、「Hizmet Movement」(トルコ政府側の言う「ギュレン運動」のこと)について簡潔に語られているほか、軍政下で民主主義を求める運動の困難について語られている。

全文を意訳の上、2回に分けて掲載する。

→ Fethullah Gulen: I Condemn All Threats to Turkey’s Democracy
NYtimes 2016.7.25 By FETHULLAH GULEN
http://www.nytimes.com/2016/07/26/opinion/fethullah-gulen-i-condemn-all-threats-to-turkeys-democracy.html


今月トルコでクーデターが企図された際、私は強い口調で非難しました。
「政府は力ではなく、自由で公正な選挙のプロセスを通して獲得されなければならない」
「私はトルコのために、トルコ国民のために、そして現在トルコで起きている事柄が平和的に速やかに解決する様、神に祈りを捧げている。」このように発言しているのです。

トルコの主要な3つの野党による主張に似ている、私の明確な抗議にもかかわらず、ますます独裁的になっているレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、暴動を画策したとの理由で即座に私を告発し、彼は米国に対して私を引き渡すよう要求しました。

エルドアン氏が訴える内容は、私の信条全てと衝突しているだけでなく、いい加減で間違っています。

私の哲学 ―あらゆる信仰における「神性(human beings)※」に奉仕するために捧げられた、「包括的で多元的なイスラーム」の思想― は、武力による暴動とは正反対のものです。

※話者が宗教指導者であることに鑑み、通例「人間(というもの)」と訳される単語の意味を掘り下げて訳した。下線はEast Media Newsによる強調。
※「神性」:多くの宗教において、人間の本質は神から授けられた神聖な性質を帯びていると認識されている。西洋政治思想における人権規定の根拠。

40年以上もの間、私が組織するHizmetムーブメント(トルコ語で奉仕serviceを意味する)に参加する人々は、「(トルコの)政体は、国民の意志によって正統性を得ると共に、信仰上の意見や政治的な提携、または民族の起源に関係なく、国民の権利に敬意を払うものである」と主張し、その信条を論証してきたのです。

※下線部はEast Media Newsによる補足

このムーヴメントの価値からインスパイアを得た起業家とボランティア達は、150以上の国々で現代的な教育とコミュニティ・サービスを支援してきたのです。

アルカイダによる9.11テロから「イスラム国」による残酷な処刑、ボコ・ハラムによる誘拐に至るまで、西欧の民主主義社会が穏健なムスリムの声を探し求めていた間、私とHizmet ムーヴメントの友人たちは「極端な暴力には反対する」という明確な立場をとってきました。

今回のクーデター未遂の間(に起きたこと)を含む無思慮な暴力への非難について付け加えると、私たちの信条は、テロリスト達が若きムスリム達から人材を得ることを防ぎ、平和的で、多元的な思考態度を育むものだ、と強調してきました。

私の人生を通じて、私は公的にも私的にも、内政への軍の介入を非難してきましたし、事実、この数十年、民主主義を主張してきました。トルコでの40年間では4回のクーデターを耐え、軍事政権による苦悩と、誤ちに満ちた投獄を強いられました。私は、同志たちが再びこのような苦しい試練の中に置かれることを決して望んでいません。

もし、Hizmet信奉者のように見える誰かがクーデターの参加者に含まれていたとしたら、彼は私の理想に背いているのです。

とはいえ、エルドアン氏による起訴は驚くことではありません。それは私についてどうこうと言うよりも、独裁制に向かう彼の組織的で危険な行動の本性を明らかにしているのですから。

(「NewYorkTime紙へのギュレン氏の寄稿②」へ続く。)


ここまでのギュレン氏の主張を一読してわかる通り、アル・カイダや「イスラム国」などの暴力を肯定する組織とは思想において一線を画していることがよく理解されよう。

教育への投資が、テログループへの人材供給の歯止めとなるという考え方も、エルドアン政権の強権的手法と対比した時に注目に値する。

人権や社会契約の概念に代表される西洋の近代政治思想をイスラム世界に輸入し、イスラムの政治思想を発展させる橋渡し役となれるか。

オバマ大統領は米国が「世界の警察」であることを否定したが、「民主主義の守護者」であることまでも否定してしまったのだろうか。米国の出方次第で、それが明らかとなるのだろう。

願わくば、日本もアジアのために「民主主義の守護者」に名乗りを上げて頂きたいところである。

※②では、EU加盟を巡るエルドアン氏の思惑、公正発展党(AKP)を支援していたギュレン氏の真意などが語られる。







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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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