記事一覧

【解説】蔡英文インタビュー① 「台湾は国家であると信じている」

7月21日付のWashington Post紙に、台湾新総統となった蔡英文氏へのインタビューが掲載された。 
→ Taiwanese President Tsai Ing-wen: Beijing must respect our democratic will
Washington Post 2016.7.21 Lally Weymouth
https://www.washingtonpost.com/opinions/2016/07/21/44b0a1a4-4e25-11e6-a422-83ab49ed5e6a_story.html
 
冒頭にはインタビュワーのLally Weymouth氏による解説が付されており、米台が密接な関係を築くことで「台湾は中共の支配下に属する」と考える北京政府の「火種となる可能性」を指摘している。
 
さらに蔡総統が就任式で「92年コンセンサス」を踏襲しないことを明言して以降、北京政府・台湾政府ともに取り繕ってきたこの問題の緊張を高めているとする。
 
「92年コンセンサス」とは、「大陸」と「台湾」は分けられるものではなく、一つの政府の統治下に置かれるべきだが、その「政府」についてはそれぞれ認識が分かれるという「棚上げ」の事を意味している。
 
しかしながら、実際は「棚上げ」している間に経済的・文化的に北京政府に飲み込まれ、最終的には政治的に飲み込まれる危険性があることを馬政権下で味わっている。
 
下記にインタビューを一部意訳の上、2回に分けて掲載する。
 
Q.習主席に対する印象は?
A.汚職に対する習代表※の勇気ある取り組みは、中国社会を発展させる重要な要素であると考えています。同じく、両岸関係についても今一歩の柔軟性を見せて下さることを期待しています。
 
※習近平国家主席について、Lally記者がChinese President と呼称していることに対して、蔡総統はChairman Xiとのみ呼称していることを反映した。
 
Q.あなたが「92年コンセンサス」を受け入れることについて、習氏は一定の期限を設けている。と複数の学者が発言していますが、その通りですか?
A.台湾政府が、国民の意志に反する条件のための期限に同意するなどということはありえません。
 
Q.5月下旬の総統就任式以来、中国は公式の交渉窓口を閉じていますが、北京との日々の関係を取り扱うプランはあるのですか?
A.私たちは常に多様なコミュニケーションの窓口を持っています。これらは公式のものだけではなく、民間の交流だけでもありません。...両岸には異なる立場があるのです。台湾では、我々はこの差を最小化するべく最善の努力を尽くしています。我々が就任式以降に示してきた善意について、中国が理解することを信じています。
 
Q.そうでしょうか。交渉相手は、あなたのスピーチを「不完全な答案」だと言った中国の国務院台湾事務弁公室ではないのですか?彼らにはあなたの立場を認める公的な兆候はありません。総統、あなたは中国政府のカウンターパートたちと接触しているのですか?
A.政府の階層ごとに、それぞれの手法で中国でのカウンターパートとコミュニケーションの方法を持っています。あまり詳細は語れませんが。
 
(中略)
 
Q.あなたの支持者である若者の多くは、自分自身のことを「中国人」ではなく「台湾人」と考えています。彼らは古い世代よりもさらに独立意識が旺盛です。大統領として、あなたは両岸関係を安定させると同時に支援者たちを満足させなければなりません。どのようにこれらの要素を安定させますか?
A.異なる世代と民族的出自を持つ人々は、中国に対して異なる見方をもっています。しかし、彼ら全員が合意していることがあります。民主主義です。
 
Q.1979年にアメリカが立場を変え、台湾の中華民国の代わりに中華人民共和国を承認して以来、ワシントンは台湾を国家ではなく一つの実体としてとらえていますが、これはフェアだと思いますか?
A.アメリカが「実体(entity)」という言葉を用いるときの意味についてははっきりとわかりませんが、ここ台湾で私たちにとっては、私たちは国家であるという事、民主主義の国であることを信じています。
Q.台湾が世界で承認されていないことは、フェアではないという事ですね?
A.まったくその通り、アンフェアです。
 
(以下、②に続く)
 
インタビューの後段では、防衛問題や中国との経済関係、ハーグ裁判所の南シナ海判決に関する内容が続く。
 
 
蔡総統のインタビューを受けて、新華社は「台湾の指導者は未完成答案を仕上げなければならない」とする記事を掲載した。
 
記事によると、蔡総統就任後のいくつかの政策転換や事件が台湾側の「回答」だと断じている。
 
詳細は記事の②にて紹介するが、具体的には教育大臣が「脱中国」化の修正を撤回したこと。政権が沖ノ鳥島に対して「岩」とする扱いを修正したこと。台湾海軍のミサイル誤射事件など「両岸関係の信頼を損ねる」行為だとされる。
 
蔡総統の「就任以来の私たちの善意を信じてほしい」という発言に対して、北京政府の態度は頑なである。
 
→ 台湾当局领导人必须完成“未完成的答卷”
7月24日付 解放軍報3面
http://www.81.cn/jfjbmap/content/2016-07/24/content_151485.htm
 
台湾問題というのは地政学的観点から「中国包囲網」の最重要部分をなす問題であって、このような蔡総統や台湾国民の“意志”を日米がどのようにフォローすべきかという観点から捉える必要があるのではないか。
 
台湾が落ちれば、沖縄・南西諸島、フィリピン・東南アジアへと、ドミノ倒しのように侵略の危機が広がるだけのことであり、日米が結束して台湾の勇気を支える必要があるだろう。




にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
にほんブログ村

にほんブログ村 ニュースブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ
関連記事
スポンサーサイト

Sponsored Link

ブロマガ

紹介文:ホワイトハウスで公開される、トランプ大統領の公式発言について概要を配信致します。

月刊ブロマガ価格 500円

ブロマガ記事一覧

購入したコンテンツは、期限なしに閲覧いただけます。

プロフィール

eastmedianews

Author:eastmedianews
最新の国際情勢・世界のニュースのまとめ&解説をお届けします。

主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

各国の政府の発表した公開情報

Sponsored Link