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【ロシア情勢】ロシアの米国との核協力停止について

10月初旬、ロシアが原子力分野において米国との協力を停止することを発表した。停止が発表された協定は、兵器級プルトニウムの処理に関するものが一件、原子力の平和利用に関するものが二件となっている。

両国の原子力協力関係、特に今回停止されたような民間分野を含む協力は、既に2014年のウクライナ危機をきっかけに米側より協力解消の通知が入っていた。今回はシリア問題で米露の対立が深まる中、ロシア側からの外交カードとして核協力の停止に踏み切った形となる。

プラハ演説、ノーベル平和賞受賞、広島訪問、など「核なき世界」の実現に向けた政治的遺産を遺す事に強い関心を払っていたオバマ大統領の退陣が間近であることも、プーチン大統領が核協力分野での強硬姿勢を強める要因となっていると思われる。

(以下、East Media Newsによる意訳)

原題:Russia regrets disruption of cooperation with US in nuclear sphere — Kremlin
媒体:Tass
日付:2016.10.6
種類:報道記事
http://tass.com/politics/904534?_ga=1.146257975.2016516890.1474664484

>ロシア大統領報道官の発表

ロシアの大統領報道官Domitry Peskov氏は4日、ロシア政府は米国との原子力協力合意を停止しなければならなかったことを残念に思っているが、合意がどのようなものであれ、米国の失敗のために事実上無駄なものであった。とメディアに発表している。

「クリミアでの出来事の後、米国は現実にこの協定の実務を停止していた。昨日、我々は米国のカウンターパートによって作り出されたこの状況をただ正式なものにしただけの事である。」
「我々はこれを行わなければならなかったことについて残念に思っているが、この合意は事実、米国の決定において機能しなかったのである。」

>ロシア外務相の反応

10月5日、二つのロシア政府の法令がサインされた。一つは米国との原子力・エネルギー分野での研究開発に関わる2013年9月16日の合意を停止するものであり、もう一方は、国営のRosatomと米国エネルギー省(DOE)の間で取り交わされた2010年12月7日の特別な事業、ロシアの研究用原子炉を低濃縮ウラン燃料へと転換する可能性について研究を管理する協力を取り消すものであった。

ロシア外務省は、米国政府の友好的でない声明と行動への対応として、Rosatom社とDOEの間の特別な合意を取り消すと共に、ロシアはその合意の下にあると見なされる全ての義務に応じることを決意させられたと発表した。

「このステップは、原子力エネルギー分野でのロシアとの協力を停止するという2014年の米国からの通知に続くものである。」
「また同時に、ロシアは以前にその合意の下にあると見なされた義務を全て満たすつもりである。それは以前に締結されたすべての契約の作業を含んでいる。」


ロシア外務相は、米国の決断がロシアとの民間原子力分野での協力を終了させたとの観点から、ロシアは「自国の原子炉の更新と安全管理というようなセンシティブな分野において、米国政府を信用する」立場にないと発言した。

また、もしこの決断がロシアでなされるならば、幾つかの研究炉の低濃縮核燃料への転用を調整することが可能となる。全ての関連する作業は、独立して行われることになるだろうとも発言している。

「我々は核不拡散条約国が高濃縮燃料から低濃縮燃料へと原子炉を転換することについて、これが究極の目的ではないと考えて」おり、幾つもの事例から例を挙げるならば、医療分野での放射性同位体製品は、高濃縮ウランはとても効果があり、これを停止するという事は技術的にも経済的にも実行可能とは言えない。

>Rosatomの声明

原子力エネルギー企業のRosatom社は、ロシアは低濃縮ウランに関する全ての義務に従ってきており、Rosatom社の広報官は、DOEは制裁を実行するために軍事科学協力の合意の下でいくつもの特別な行程を取ってきたと発言している。

(以上)

今回、ロシアが一方的に停止を通告した合意とは、2013年に両国が締結したものである。その内容は原子力エネルギー分野における平和目的での科学技術協力を目的としたものであり、原子力安全、新たな原子炉の建設、放射性廃棄物の統合管理、医療分野と産業への原子力エネルギーの利用が含まれていた。

文中、ロシア外務省の発言として、2014年に米国からすでに協力の停止が通告されていたとの発言があるが、同年ウクライナ危機が発生した際に米国エネルギー省からRosatom社に通告された覚書の事である。

→出典
原題:Russia suspends nuclear cooperation with US, says Washington violated agreement
媒体:Russia Times
日付:2016.10.5
種類:報道記事

さらに、原子力協力に関する合意の停止が発表される前日、ロシアは兵器級プルトニウムの管理についての協力をも停止することを発表している。

(以下、East media Newsによる意訳)

主題:プーチンは米国に最後通牒を届ける:制裁の解除とMagnitsky法
原題:Putin delivers ultimatum to US: Lift sanctions and Magnitsky Act
媒体:Pravda
日付:2016.10.3
http://www.pravdareport.com/news/russia/politics/03-10-2016/135768-usa-0/

プーチン大統領は10月3日、米国の友好的でない行動のために、兵器級プルトニウムの処分の権利に関する米国との合意を停止する法令にサインした。

その合意はおそらく、米国が幾つかの状況を満たすことで修復されると予想される。

大統領の決議案によれば、この法令は下院(Duma)のデータベースで公開される。アメリカ政府はMagnitsky法※を廃止し、ロシアに対する全ての制裁を取り除いてロシアに保証を行うべきであるとしている。

※Magnitsky法とは、ロシア政府当局者による巨額の税金横領事件を告発したセルゲイ・マグニツキー弁護士が2009年に当局の拘禁中に死亡した事件を問題視した米上院議会によって制定された法律である。マグニツキー弁護士の死に関与したとされるロシア政府関係者など30人に対して、米国内への入国禁止や資産凍結など制裁を加える内容となっている。


主題:米国はプルトニウムを処分するロシアの権利を拒否する
原題:US makes Russia reject plutonium disposition
媒体:Pravda
日付:2016.10.3
http://www.pravdareport.com/news/russia/03-10-2016/135763-agr-0/

プーチン大統領は、アメリカ政府の友好的でない行動のために、米国との兵器級プルトニウムの処分の権利に関する合意を一時停止した。

これに関する文書はすでに公開されており、大統領の決断は「米国のロシアに対する友好的でない行動の結果として、戦略的な安定性が損なわれたこと」を強調するほか、過剰な兵器級プルトニウムの処分に関する義務の実現を確保することが出来ないという、米国の不適格さを示すものとなっている。

Pravda紙の報道によれば、プーチン大統領は4月、米国はロシアと違い、過剰な兵器級プルトニウムの処分に関する義務を果たさず、兵器として利用可能なポテンシャルを維持していることを指摘していた。

(以上)

この他、米露の対立は「核軍縮」分野でも続いている。

2011年にオバマ大統領とメドヴェージェフ大統領(当時)が交わした新戦略兵器削減条約(新START条約)は同年2月5日に発効したが、弾頭や運搬手段の配備・備蓄数では認識の一致を見たものの、ミサイル防衛システムについては認識の不一致が浮き彫りとなったままである。







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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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