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【シリア情勢】停戦崩壊を巡る米露のディベート、ロシア側の反駁

シリア停戦崩壊に関連して、米露は熾烈な非難合戦を繰り広げている。

Pravda紙の論旨を検証すると、テーマは中東における正義の問題(宗教的少数者の保護)から、中東の混乱に関する欧米側の責任の所在、プロパガンダと情報戦争など、多岐にわたっているが、このような「国際正義」を巡る議論が活発化しているのも、ロシアなどの台頭(と米国の凋落)による世界の多極化によってもたらされた現象だと言うことができる。

(以下、East Media Newsによる意訳)

主題:偽りの涙:シリアで行詰る米国
原題:Crocodile tears: USA chokes on Syria
媒体:Pravda
日付:2016.9.28
種類:報道記事/Lyuba Lulko
http://www.pravdareport.com/world/asia/syria/28-09-2016/135729-usa_syria-0/

Aleppoの現状に関する国連安保理会議でのSamantha Power代表の癇癪は、アメリカ人がシリア問題について平静を失っている事を示しており、誰かがこれをなだめてやらねばならない。

米国の“暫定協定”とは、米国の自己防衛本能が働く間、常に敵に怒りをぶつけ、非難し続ける性質のものである。その後、米国は単純に侵略者と非難を加えるのである。

米国のSamantha Power代表は、米・英・仏がロシアに対して「Aleppo市民を爆撃している」と断言し、公に懲罰を加えようとして招集した国連安保理の委員会において、「ロシアが支援し、行っていることはテロとの戦いではありません。野蛮な行為です。」と訴えている。

それでは、イスラム主義のテロリストを育てたのは誰なのだろうか?

シリアでの戦争を始めたのは誰なのだろうか?

過激主義者を支援しているのは、誰なのだろうか?

Assad政権を揺さぶろうと欲しているのは誰なのだろうか?

何十万人もの難民が欧州に殺到する間、ロシアはただアラウィー教徒(シリアで権力を握っているシーア派系少数イスラム教徒)とクリスチャンが直面している、現実の大量殺戮の脅威に対して介入しているだけである。もしAssadが政権から追放されることがあれば、今日のシリアにおける過激主義者は、さらに勢いを増すだろう。なぜ真の野蛮人はそうヒステリックになるのだろうか?

Power代表はさらに「ロシアは国連安保理の常任理事国の席を保持している。これは特権であると共に責任でもある。シリアにおいて、またAleppoにおいて、ロシアはこの特権を乱用している」と続けた。

これはロシアから常任理事国の席を奪おうという当てつけである。常任理事国の権利は米国がロシアに与えたものだとでも言うのだろうか?それは赤軍がドイツのファシズムを打ち砕くことによって得たロシアの権利なのである。米国は力によってこの権利を奪おうとでもいうのだろうか?

Matthew Rycroft英国大使はPower氏を支援し、次のように発言した。

「今週末、Assad政権とロシアは新たな深みに突入すると共に、Aleppoに新たな地獄を解き放った。」

Rycroft大使によれば、ロシアは政治的交渉の再開のために求められる状況を破壊するのではなく創造するか、さもなければ国際的孤立の状態に置かれるだろうという。

国際的孤立?もしロシアが国際的に孤立しているのならば、アメリカはシリアに関してロシアとの交渉を行うつもりはないだろう。国連安保理における上記のような西側の声は、外交の欠如というだけではない。(ロシアの)同僚に対する敬意の欠如というものだ。

イギリスとフランスの代表者達は、シリア代表の話にさえ耳を傾けることなく、会議室を後にした。このような振る舞いは、リビアやイラク、アフガニスタン、パキスタン、シリア、ソマリア、そしてイエメンでの何百万人の死と苦痛に対して、何らの処罰も受けないでいる人々の露骨な厚かましさというものである。これこそが真の野蛮というものではないか。

今日、シリアに関するGenevaでの合意は何の労力も要しないものであることが明らかとなっている。そして、その合意を傷つけたのはロシアではない。アメリカ人がDeir ez-Zorでシリア軍を爆撃し、Aleppoでの人道支援の車列に対する挑発を計画したのである。

Samantha Power氏は、シリアでの米国の同盟が打ち倒される危機に直面していると発言している。恐らく、それはシリアでテロリストを訓練していた欧米の軍人に死傷者が出ていることへの感情的な対応だと思われる。それはイランのメディアが報じるところによれば、12名ほどの軍人だという。

欧米のマスメディアはソーシャルネットワークやボランティアを駆使しており、それらの一つはシリアで「White Helmets※」と呼ばれるものである。

そのメンバーの一人であるAmmar Al Celmoによる証言は、ロシアを「野蛮」であると非難することに使われている。彼の馬鹿げた声明は、ロシア製だという「奇妙な」航空機の映像を根拠としている。しかしながら、Wordpress.comによれば、Ammar Al CelmoはAl Qaedaのプロパガンダ組織で活動していることが明らかとなっている。

そのブログはロシアの空爆に関して、焼夷爆弾やバンカー爆弾などを使用して「市民を殺害した」とする虚偽の内容を公開している。

ロシア軍が使用した武器は在来型のものであり、テロリストと彼らの施設の上に落とされている。興味深いことに、最初の「証拠」はロシア軍がシリアに現れる前に出現したというのである。

※White Helmetsとは、シリア反政府勢力の支配領域で活動する、非武装の民間救助組織を指している。政府軍の空爆から市民を救助する活動を展開するとされており、公式HPや動画も存在する一方、アル・カイダ系武装勢力と共に行動している写真が出回ったり、投稿する写真に偽造が多かったりするため、「反政府側のプロパガンダではないか」とする指摘もある。

これら全ては、情報戦争の一側面である。アメリカ政府はある出来事の解釈に対する支持を作り上げると同時に、敵と断定した勢力の解釈を故意に無視している。不運なことに、これは米国の外交政策において決して新しいトリックではない。イラク侵攻以前、Colin Powellが国連安保理に示したSaddam Husseinの化学兵器の一件を思い起こせば十分である。

この一件により、なぜイラク人は国際司法裁判所に訴えなかったのか?という疑問が残された。つまるところ、シリアと違い、イラクは主権を持たなかったのである。

ロシアは、シリアでのテロとの戦いが正当であると西欧に思い出させる必要がある。シリアは国民を守り、武装勢力を打ち滅ぼすという憲法上の権利を行使しているのである。ロシアとシリアは、市民が戦闘区域からの逃避するために可能であるすべての支援を行ってきている。

ロシアとシリアは欧米との妥協を合意してきたが、それはテロリストの更なる挑発を導いただけであった。安保理会議の終結以降、シリア、ロシアとイランはシリアの人々の苦しみに終止符を打つための攻勢に出る権利を得ている。

シリアで決定的な行動を行うことについて付け加えれば、ロシアは欧州での同盟を探さなければならない。EUには1966年にフランスをNATOから脱退させ、フランスの独立を保ったような、新たなド・ゴール将軍がいるのだろうか?

欧州はイギリスのEU脱退後、あえてシリアにおけるアメリカの行動を制限するだろうか?

欧州にはアメリカではなくロシアを知り、終わりのない難民の波を止める事の出来る真の政治家がいるのだろうか?

ドイツで連邦選挙が実施される2017年まで待つこととしよう。
それまでの間、我々はSamantha Power氏の口から飛び出す偽りに耳を傾けなければならない。それは米国の軍事産業複合体が、米国議員から更なる資金を受け取るためのツールに過ぎないのだから。そうして作り出された恐怖は、ヒラリーのようなタカ派の行動や、米国民の彼女への投票を正当化する事になる。

(以上)

プロパガンダと情報戦争、そして謀略に関して、欧米は不運なことに長い歴史を持っている。6年前、アラブの春が吹き荒れた時はソーシャルメディアの発展がイスラム世界の民主的発展をもたらすかの如く宣伝されたが、実際は新たな大衆扇動の手法が生み出されただけであった。

それにしても、中国系の媒体もそうであるが、欧米系のメディアに対して舌鋒鋭くディベートを挑む姿勢は、日本のメディアにも一部なりとも取り入れて欲しい魅力であるように感じる。






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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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