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【ロシア情勢】「心の幸福」に重点を置くロシア下院議長:トルストイ氏

9月18日、ロシア下院選挙が実施された。結果、プーチン氏が勢力の基盤とする「統一ロシア」が450議席のうち343議席を獲得し、2018年の大統領選でのプーチン氏再選が確実視される結果となった。

FTなど欧米系メディアがロシアの選挙を強権的であり、出来レースであったと批判する中、Moscow Timesが下院議長として選出されたPyotr Tolsty氏の発言を伝えた。物質的幸福を追い求めるだけではなく、精神的幸福(Spiritual values)を満たしてこそ国家の発展と威信が確保できるとする内容である。

(以下、East Media Newsによる意訳)

主題:物質的幸福よりも重要なもの:下院議長の主張
原題:More Important than Material Wellbeing, Duma Deputy Claims
媒体:The Moscow Times
日付:2016.9.21
種類:報道記事/要人発言(Pyotr Tolstyロシア下院議長)

このたびの選挙で、Pyotr Tolsty氏が新たにロシア下院(Duma)議長として選出された。

氏はかねてより物質的な幸福よりも「精神的な価値(spiritual values)」が重要であり、精神的価値こそがロシア経済の発展を実現するとの意見を表明している。

Govorit Moskvaラジオの収録において議長としての抱負を語るところによれば、人々の間における精神的な価値が、幸福の担保となるとの事である。

「はっきりと申し上げて、精神的価値を第一に置くことで幸福がもたらされると言えるでしょう。」「精神的価値なくして、国家の尊厳はありえず、経済発展と国民の自尊心もあり得ないのです。」

Govorit Moskvaの報道によれば、Tolstoy氏はロシアの偉大な文学者の子孫であり、前職はキャスターであったという。彼はまた「どこにでもいる人々のための、妥協のない闘士」であることを公約し、「偉大な国の下では誰一人として貧しさの中に置かれるべきではない」と主張している。

以前、プーチン大統領はロシア社会の精神的支柱を支援する旨、発言しており、2012年にロシア社会から同情と慈善事業が欠落していると主張している。

「我々は、これらの価値が欠落している様を目撃している。それは我らを強く、さらに快活に、そして常に我々を誇り高くさせている価値である。」と発言する一方、そのような「伝統的価値」を支える慣習を支援する必要性について強調している。

(以上)

議論を通して様々な意見を細大漏らさず集約し、国政に反映させようという欧米(特に米国)の民主主義的常識からすれば、出来レースの様相を呈している「ロシア的民主主義」は好ましくないものと映るのだろう。

トルストイ氏の発言も、恐らくプーチン大統領の意を受けてのものだと思われる。


ところで、本記事でTolstoy下院議長が触れる「精神的価値」とは恐らくソ連崩壊以降のロシアで復活が進んでいる「ロシア正教会」のことであろうと思われる。

最近のロシアは、「キリスト教国」としてのアイデンティティーの下に、国家の大義を掲げようと努力している節がある。
【参考記事】ロシアはキリスト教の守護者となる:ラブロフ外相
(本日11:00に掲載)

共産国、すなわち唯物論・無神論国家であったソ連邦の崩壊以降、ロシアでは伝統的な正教会が復活し、人々の精神的支柱となっている。軍でも従軍牧師ならぬパラシュート付きの移動教会モジュールが導入され、ロシア軍で9割を占めるロシア正教徒の信仰の需要に応えると言われる。※1

※1 詳細は「ロシア軍 教会 移動」で検索のこと


一方、欧米の民主主義とは、プロテスタント・カトリックの凄惨な対立の中から、人権の基礎中の基礎としての「信教の自由」の概念を確立し、そこから種々の人権規定や政治参加の権利を具体化してきた歴史を持つ。

そのような欧米型民主主義の下で担保される政治的意志決定の本質とは、「多数者の弾圧から、少数者を保護すること」ことである。つまり、その具体的現れとしては「国家権力を利用した宗教弾圧(少数者の弾圧)を拒否する」ということであり、同時に、「大衆的熱狂と対極にある、高い見識と先見性を持つ少数の意見を埋没させない」という事である。


拒否されるべき「国家権力を利用した宗教弾圧(少数者の弾圧)」とは、古くはキリスト教徒を迫害したローマ帝国の姿であり、新しくはナチス党によるユダヤ人排斥運動であり、共産中国によるチベット・ウイグルへの文化的弾圧に通じる。

「大衆的熱狂と対極にある、高い見識と先見性を持つ少数の意見」の重要性とは、ヒットラーの危険性をいち早く見ぬき、警鐘を鳴らしたハイエクやドラッカー、ハンナ・アレントなどの論陣の事であり、古くは霊的な啓示により、文明の礎を遺したモーセ、イエス、ムハンマドなどの宗教的預言者の姿に通じる。

つまり、欧米的民主主義の源流としての「信仰の尊重」にロシアが回帰するという姿勢を示すのであれば、(そのプロセスには未だ未熟なものが残るとしても)将来的には「価値体系を共有する文化圏」として、欧米とロシアが融和を実現できる可能性があるという事である。

共産国でも唯物論国家でもない、「普通の国」であろうと努力するロシアの姿勢を見落とすべきではないのだろう。


もう一つ言えば、そのような欧米的民主主義の対極にあるのが、唯物思想を国体に据える中国共産党である。ロシアが信仰を是とする国に舵を切る努力を受け入れること自体が、密接に協力していると思われた中露の「違い」を浮き彫りにする結果となるだろう。

【参考記事】
【トルコ情勢】ウイグル人問題を巡る溝が浮き彫りとなったトルコ‐中国会談









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イギリス:BBC、Times、Independent、
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