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世界は北朝鮮の核実験をどう報じたか① Indian Express紙

北朝鮮の五度目の核実験が、世界でどのように認識されているか、多少のサンプルを提供していきたいと思う。NPT条約に加盟せず、核実験を実施し、米国の同意を取り付けて核武装国となったインドの視点は、リアリスティックでありドライでもある。


主題:北朝鮮の核爆弾テスト:なぜ世界は核兵器の現実を見るべきなのか
原題:North Korea’s bomb test: Why the world should get real on nuclear weapons
種類:オピニオン (Praveen Swami) 
媒体:Indian Express
日付:2016年9月9日
http://indianexpress.com/article/opinion/web-edits/north-koreas-bomb-test-why-the-world-should-get-real-on-nuclear-weapons-3022149/

(以下、East Media Newsによる意訳)

金曜日の朝に実施された北朝鮮の五回目の核実験は、最も頑固な楽観主義者に対してさえ、北朝鮮の体制は核兵器の増産を放棄する兆候がない事を明らかにした。

専門家は北朝鮮の核弾頭の今のところの威力を10キロトンから20キロトンの間と見積もっており、1945年に広島に落とされた15キロトンの爆弾と比較して、世界的には控えめのサイズである。平壌は今回実験に使用された核兵器について、「戦略弾道ロケットに搭載できるように標準化された」デザイン―別の言葉でいえば、目標に到達可能な―であると発表している。

韓国の朴大統領は今回のテストについて、北朝鮮の指導者・金正恩が「狂信的な無鉄砲」であることを明示する「自己破壊的な」行為と呼んでいる。この点について、米国は「深刻な結果」を警告している。

こういった言葉と、その後に続くであろう辛辣な言葉の多くは派手であるが、いくつかの不愉快な真実を無視している。

まず一つは、北の通常戦力が許容できないダメージを韓国に与えたとしても、誰も北朝鮮との紛争を望んでいないという事だ。次に、実際は金正恩の奇怪な体制に不満があったとしても、中国は体制の変更を支持しないので、朝鮮半島で米軍のプレゼンスが強化されるよりも、現状維持を好むことになる。最後に、西洋が行ってきた制裁では、北朝鮮の体制を追い払うために何もできなかった。

おそらく、想像もできないことを考え、どうすれば核兵器国となった北朝鮮と共存することができるのか尋ねる時期が来ているのだ。

これまでの間、米国は大部分の国際社会と共に、北朝鮮から「完全で、証明できて、元に戻らない非核化」を追求してきました。

その理由は、北朝鮮がNPT条約の加盟国だったからですが、北朝鮮は最初の核実験を2003年に行ったとき、一方的にNPTからの脱退を通告しました。北朝鮮がうまくNPTから逃れる事を許すと、昨年、核合意へと痛々しく囲い込まれたイランや西アジアの国々が同じ道をたどるであろうと主張されています。

理論的には、これは完璧に筋の通った議論ですが、また異なる見方もあるのです。北朝鮮の支配者層の視点から見れば、世襲制独裁政治はより豊かで、よりパワフルな隣人に取り囲まれており、内部的・外部的恐怖が毎日の現実なのです。

金正恩は、彼の国民が豊かな韓国との合併を選択するという、東ドイツ式の体制崩壊を恐れています。

この独裁者はまた、近隣国が国内の謀反のスポンサーになるかもしれないことや、米国が彼の体制を崩壊させるために攻撃を開始するかもしれないことを恐れています。

したがって、核兵器は自己防衛と脅迫のためのツールなのです。彼らは想像できる危機に対抗して、体制の生き残りを保証しています。ひとたび金正恩が核兵器を保有すれば、彼は他の国々からひき続き安定させることに関心を持つ怪物となるのです。

彼の体制に核兵器をあきらめさせようとわいろを贈ることは、まったくバカバカしいことです。ウクライナは1994年に弾頭の放棄に合意し、ロシア、イギリス、アメリカから領土保全についての保証を受け取りましたが、それがまったく価値のない事だったと証明されました。また、北朝鮮は核兵器への熱望を放棄したカダフィが無残な最期を遂げたことも知っているのです。

制裁を通して体制を打ち据える努力は、うまく働きませんでした。不安定な隣国から、難民が鴨緑江を超えて押し寄せることを恐れる中国が制裁に手を抜いたことで、
高度に違法とされた体制は特権階級を困苦から保護することに成功しているのです。

さらに重要なことは、アナリストのAndrei Lankovの言葉を使うと、「特権階級はヘネシー・コニャックを失うだろうが、Appointment with lamp-post(つるし上げ?)を逃れるために、その犠牲を払う用意がある。」ということです。


代案があるのだろうか?「想像もできない」な可能性としては、シンプルに核武装国としての北朝鮮と共に生きるという事です。

理論家のKenneth Waltz氏は、1981年の著作の中で「核兵器は多いほど良い」とする有名な主張をしました。彼の主張は「熟考された核拡散のほうが、それを恐れるよりもましである」という意味です。彼がこのような主張をするのも、「伝統的な世界では、脅迫による抑止は遠く、限定的で、不確実であるため効果的ではないとされてきました。核兵器は軍事的な計算違いを困難にさせ、政治的核心についての予測を容易にするのです。」

単純に言えば、「伝統的な世界では、人は勝つか負けるかの予想がつかないものですが、核兵器の世界では、生き残るか絶滅するかの違いが分からなくなる」のです。

したがって、北朝鮮は結果として全滅を招き入れるときにのみ、核兵器を使用することができるのです。

北朝鮮が核兵器を諦めるつもりがない事を認めるという事は、現実を認めた実際の交渉の窓口を開くことになります。例えば、北朝鮮政府は、核戦力の上限を設定する見返りに、経済的な利益と外交的な承認を提供されることができます。

そのような契約はフェアなものではないでしょうが、それが西アジアであれどこであれ、必然の成り行きとなるでしょう。しかし、それは核についての受け入れられないモラルを誤って与えようとを追求することよりも、我々の世界のリアリティを認めることになるでしょう。

(以上)

ケネス・ウォルツの「熟考された核拡散」を持ち出しながら、北朝鮮を核保有国として認め、核戦力の上限を示すなどして共存を図っていけとする内容であった。

つい先日ロシアがイランに対して原子力発電所二基の建設を支援すると発表されたばかりであり、「イランが今後北朝鮮と同じ道をたどる」とする指摘は当を得ていると言える。

→ Iran breaks ground on two nuclear power plants
Tehran times  2016.9.10
http://www.tehrantimes.com/news/406251/Iran-breaks-ground-on-two-nuclear-power-plants

疑問点があるとすれば、「難民が押し寄せたら困る」という動機だけで、中国が北朝鮮の包囲を緩めたりするだろうかと言う点と、金正恩を果たして「熟考された核拡散」の対象として認めてよいのかという点だろう。

中国は北朝鮮の「狂犬」のような動きを利用してプレゼンスを高めようとしているし、先般発射実験が行われた北朝鮮のSLBMは中国のそれと瓜二つであると指摘されている。

また、「使ってはならない兵器」としての前提を共有して核兵器の拡散を行えるほど、この世界は果たして成熟しているのかを問う必要があるだろう。










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主な出典

国内:主要メディア各紙(産経、日経、読売、朝日、毎日、など)

アメリカ:CNN、Fox News、Wall Street Journal、New York Times、Newsweek、Washington Post
イギリス:BBC、Times、Independent、
中国:解放軍報、新華社、人民日報
ロシア:PravdaReport、MoscowTimes、Russia Times
イラン:TehranTimes、IranDaily

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